ハゲ

よりも見栄えが悪いものは伸びっぱなしの髪だよね。ハゲが醜いのではない、床屋にも行かずだらし無く無精に整えられていない髪型の方がよっぽどみっともないのだ。ハゲててもきちんと整えられた頭は清潔感があって人の目にも耐える。世のハゲよ、おそらくもっともパーソナルな位置である頭頂部を人に晒すことを恐れてはいけない。覚悟を決めて床屋に行くのだ。ということで美容室に行って来た。サイドと後ろを刈り上げてもらった。涼しい。てか寒い。あとは白髪染めるだけだ。ところで話は変わるような変わらないような、最近三国志を見ているのは前にも言ったんだが、そこで気づいたんだけど、あの世界の人たちの髪型は長く伸ばした髪を頭頂部に集めてお団子を作って(月野うさぎと一緒なのである。最近セーラムーンcrystalを全部見た俺にはわかる)そのお団子のうえからちょこんと冠をかぶせて簪を指してとめるのである。頭頂部を隠せるという点においてまことハゲに優しい髪型である。ここで翻って我が国はどうだったのかというと、江戸時代あたりに月代というのがあった。これはひたいから頭頂部にかけておおきく剃り込みを入れてそのうえにちょこんとチョンマゲを乗せる、というもので、これは三国志世界のハゲを隠す、と全く逆の発想なのである。古代中国と江戸日本、ここに文化的対称性を見出せるのである。

キン肉マン

Netflixで何気なくキン肉マンを見ていたけど、これは小学生の頃の自分が見てたらむっちゃハマったろうな、と思った。んだけども、そういえば見ていたな、再放送で…。ち、ちょうど世代だわ。そういえば幼稚園の時キン消しが流行っててみんな粘土箱の中に入れてたわ。自分は友達の野崎くんにもらったウォーズマンを入れてました。ちょうど映画で悪魔将軍と戦うところまでは見た。好きなキャラ、というか印象に残ったキャラはジェロニモで、サンシャインとの戦いは覚えている。よっぽど実は超人じゃなくてただの人間だった、ってのが印象的だったんだろうな。というわけで、ハチワンダイバーマムシさんがジェロニモだ、って鬼将会の人から言われたエピソードはグッと来ました。

明日は旅に出ようと思う。行き先はまだ決めていない。なんだか、行ったことのないところに行かねばという気持ちがある。できれば無人島とかがいい。人のいないところ。いや、人がいないと面白くないか。ゆらゆら列車に乗るのもいいかも。まあ、とりあえず、新しい思いつきが欲しい。

『黄金時代』覚え書き/4

第16章 沁みの名前

 島民はさまざまな沁みのカタログや辞書を作る。あらゆる沁みから辞書を片手に物語を読み取る。異邦人はこのような沁みへの崇拝に嫌悪感を覚える。島民はなんらかのモノを見る際に沁みにたとえる。ある種のロールシャッハテストの裏返し。沁みの影響下にあることを落胆する建築家。聖人像にまでも沁みの形状を読み取ってしまう。いたるところで形に入り込む沁み。モノの形もまた沁みと同様幻のような醜いものであり、いかなる特権も持っていない。建築家は沁みに降伏をする。

 

第17章 ベルリンの巨匠

 語り手が読者に語りかける。君が私の追想を邪魔してるのではないか、いやそんなことはない。再びバウムガルテンの話をする。ネオンの文字の上での盗賊との話の続き。ある絵をオークションで競り落とすために盗みを働いたと語る盗賊。あらゆるところに多くの記号がはめ込まれある種の文字となって読み込みことが可能な絵。その読み込み可能な物語のひとつ、ゼフィロス号の遭難の話を始める盗賊。船体にゼフィロスと書いてあって、最後の文字が蝶のような形をした赤い沁みに覆われている。(これはおそらく重要)ヨットは極めて珍しい出来事に遭遇し、筋骨隆々な男性が観光客に話している。

 

第18章 ヨット《ゼフィロス号》の遭難

 港の上の部屋にいる30くらいの日焼けした金髪の男性。プールサイドに腰掛ける女性の写真。ゼフィロス号のさまざまな写真。ある島の岩窟神殿に遭遇した写真。別の部屋では写真の女性が眠っている。傍に男性がタバコをふかしている。また別の部屋では3人の男がいる。ここで閑話休題、いろいろな話がそれぞれの空間で混雑している。いろいろな物語が交接する空間は乗り換えできる駅みたいなもの。描かれたシーンは多種多様なジャンルに分節できる。3人の男の1人は言語学者か歴史家。岩窟神殿の文書を収めた写真を託され研究している。写真に書かれた文書は黄金の輝きを放つ女神が漁師に恋をする物語。女神は嫉妬で漁師の恋人を33匹の蟹に変える。恋人は己の変態に恥ながらも漁師と心を通わす。蟹の人文字?蟹文字?怒った女神は漁師を兎の左耳に変える。

『黄金時代』覚え書き/3

第13章 美しい踝のイノ

 農場にてバウムガルテンは古い農機具や壊れたモノに文字を見出す。ギリシア語の一節「筏をそのままにし、風の吹くままにするがいい」をいう美しい踝のイノの言葉を読む。バウムガルテンはイノの助言に従い、書きかけの書物を捨て、資料をほったらかしにしてパリに住み着く。そこで仕事を転々としながらソルボンヌ大学の助教授に出会い、チェコの美学者ヤン・ムカジョフスキーの論文集をフランス語に翻訳してくれと頼まれる。フランス人女性と結婚し、子供を作り、プラハで書こうとしていた書物が書かれることは二度となかった。

 

第14章 パリの屋根

 バウムガルテンは結婚15周年のお祝いでネックレスを買い家族でアルプスにスキー旅行に行く。夜半、黒い覆面をかぶった女盗賊にネックレスを盗まれ屋根の上を追いかける。女盗賊はネオン看板の紫に光る文字をつたって逃げるので、バウムガルテンもまた同じようにつたう。女盗賊はyの文字に足を滑らせて下の端にある玉にどうにかつかまりバウムガルテンは助けてやる。ネックレスを取り戻すバウムガルテン。モノが文字に変わる農場のシーンと、文字がモノに変わる百貨店の屋根の上のシーン。

 

第15章 こぼれたソース

 島で奇妙な形の沁みのようなものにたびたび遭遇した。謎の形はかつて島にあった宗教の名残らしい。島人は歴史研究には不快感を示していて起源を探るのは難しい。私は数少ない痕跡からかつてあった島の宗教の再建を試みる。島民はかつて魚の頭を携えた神を崇めていたがそれが忘れ去られ力をなくしわずかに形を残すのみになり、新しい宗教の預言者が神なき世界を嘆きうっかり聖なる書物にソースをぶっかけてしまい、その赤い沁みから秘密の神の文字を発見したのか? と啓示を受ける。壁やいろいろなものについている沁みも話し出すことに気づく。アヴェロスの文書での言及。壁の沁みに父の顔が見えるから消してくれるな。この章は前々章のバウムガルテンの話に似ている。