『黄金時代』覚え書き/1

第7章 隠れた王

王は「選挙、議会、国民投票、世間話、ゴシップの中間に位置するような制度によって決ま」り、人々の間でうつろいゆく名前がちょうどよい均衡を持つようになった頃なんとなく決まる。王の言葉もまた人々の間、網目をうつろい、時にはざわめきから生まれる「水の言葉」に取り込まれるまた取り込むこともある。偶数回間違われると、王の言葉と一致する。島民は法の正当性を遵守する。愛の話。島の人々は土地と愛を切り離すことはできないので貞操観念はない。

 

第8章 王宮にて

不在の中心こそが中心になっているのではないかという仮定。カフカの『城』の話。島はカフカの世界とは真逆であるとい私の説明。カラエルの疑問。王に会いに王宮に会いに行く2人。果たして王に出会う。いつか見た女性であった。王であることにどこか恥じているご様子。島民も王に対してはある種の侮蔑を持っているように思える。

 

第9章 言葉とざわめき

島民のしゃべる言葉は、相手が発する言葉よりも周囲の音に耳を傾けているのではないか。島民は、既成の帝国である最終的な状態にある思考には興味がなく、場のざわめきのする外側に注意を向けている。外側のざわめきにこそより独自な思考や未知の思考が隠れていてそれをみいだすことが話すということ。言葉に楽園を見出してはいない、むしろ一度も離れたことのない、思考の生々しい泉を失ってしまうのではないかと恐れていた。島から出て北方に戻ってからもさまざまなざわめきに耳を向けるようになった。