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『黄金時代』覚え書き/3

第13章 美しい踝のイノ

 農場にてバウムガルテンは古い農機具や壊れたモノに文字を見出す。ギリシア語の一節「筏をそのままにし、風の吹くままにするがいい」をいう美しい踝のイノの言葉を読む。バウムガルテンはイノの助言に従い、書きかけの書物を捨て、資料をほったらかしにしてパリに住み着く。そこで仕事を転々としながらソルボンヌ大学の助教授に出会い、チェコの美学者ヤン・ムカジョフスキーの論文集をフランス語に翻訳してくれと頼まれる。フランス人女性と結婚し、子供を作り、プラハで書こうとしていた書物が書かれることは二度となかった。

 

第14章 パリの屋根

 バウムガルテンは結婚15周年のお祝いでネックレスを買い家族でアルプスにスキー旅行に行く。夜半、黒い覆面をかぶった女盗賊にネックレスを盗まれ屋根の上を追いかける。女盗賊はネオン看板の紫に光る文字をつたって逃げるので、バウムガルテンもまた同じようにつたう。女盗賊はyの文字に足を滑らせて下の端にある玉にどうにかつかまりバウムガルテンは助けてやる。ネックレスを取り戻すバウムガルテン。モノが文字に変わる農場のシーンと、文字がモノに変わる百貨店の屋根の上のシーン。

 

第15章 こぼれたソース

 島で奇妙な形の沁みのようなものにたびたび遭遇した。謎の形はかつて島にあった宗教の名残らしい。島人は歴史研究には不快感を示していて起源を探るのは難しい。私は数少ない痕跡からかつてあった島の宗教の再建を試みる。島民はかつて魚の頭を携えた神を崇めていたがそれが忘れ去られ力をなくしわずかに形を残すのみになり、新しい宗教の預言者が神なき世界を嘆きうっかり聖なる書物にソースをぶっかけてしまい、その赤い沁みから秘密の神の文字を発見したのか? と啓示を受ける。壁やいろいろなものについている沁みも話し出すことに気づく。アヴェロスの文書での言及。壁の沁みに父の顔が見えるから消してくれるな。この章は前々章のバウムガルテンの話に似ている。