『黄金時代』覚え書き/4

第16章 沁みの名前

 島民はさまざまな沁みのカタログや辞書を作る。あらゆる沁みから辞書を片手に物語を読み取る。異邦人はこのような沁みへの崇拝に嫌悪感を覚える。島民はなんらかのモノを見る際に沁みにたとえる。ある種のロールシャッハテストの裏返し。沁みの影響下にあることを落胆する建築家。聖人像にまでも沁みの形状を読み取ってしまう。いたるところで形に入り込む沁み。モノの形もまた沁みと同様幻のような醜いものであり、いかなる特権も持っていない。建築家は沁みに降伏をする。

 

第17章 ベルリンの巨匠

 語り手が読者に語りかける。君が私の追想を邪魔してるのではないか、いやそんなことはない。再びバウムガルテンの話をする。ネオンの文字の上での盗賊との話の続き。ある絵をオークションで競り落とすために盗みを働いたと語る盗賊。あらゆるところに多くの記号がはめ込まれある種の文字となって読み込みことが可能な絵。その読み込み可能な物語のひとつ、ゼフィロス号の遭難の話を始める盗賊。船体にゼフィロスと書いてあって、最後の文字が蝶のような形をした赤い沁みに覆われている。(これはおそらく重要)ヨットは極めて珍しい出来事に遭遇し、筋骨隆々な男性が観光客に話している。

 

第18章 ヨット《ゼフィロス号》の遭難

 港の上の部屋にいる30くらいの日焼けした金髪の男性。プールサイドに腰掛ける女性の写真。ゼフィロス号のさまざまな写真。ある島の岩窟神殿に遭遇した写真。別の部屋では写真の女性が眠っている。傍に男性がタバコをふかしている。また別の部屋では3人の男がいる。ここで閑話休題、いろいろな話がそれぞれの空間で混雑している。いろいろな物語が交接する空間は乗り換えできる駅みたいなもの。描かれたシーンは多種多様なジャンルに分節できる。3人の男の1人は言語学者か歴史家。岩窟神殿の文書を収めた写真を託され研究している。写真に書かれた文書は黄金の輝きを放つ女神が漁師に恋をする物語。女神は嫉妬で漁師の恋人を33匹の蟹に変える。恋人は己の変態に恥ながらも漁師と心を通わす。蟹の人文字?蟹文字?怒った女神は漁師を兎の左耳に変える。